鏤? Diary Forja-Artistica

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December.17 2008

次のステージへ

何事にも、きちんと向き合わなくてはいけない時期は くるのだと思う。

2008は私にとってまさしくそうゆう時だった。

いつからだろう?

作る事に 疑問を 感じはじめたのは。

いつからだろう?

作ることに 一抹の面倒臭さを 感じはじめたのは。

いつからだろう?

自分自身だけの 価値観が なくなってしまったのは。

鍛冶屋を続けるって、 大変な事だから、

それ自体が喜びで、 誇りで...

突っ走って、 十数年経ってた。

鉄に惚れてる それが すべてだった。

でも、 キラリと光る才能が あるわけでもないから、

30年間生きてきた中で生まれた ちんくしゃな価値観の中で物を作った。

かっこよく、 美しく見られる物を。

本気で取り組んだから、 それなりに感動を呼べただろうし、 自分でもお気に入りの作品もある。

でも、 だんだんと見えてくる。

自分の作品に自分自身の 価値観がない事が。

心に矛盾があることが。

苦しくなってどうにもならなくなったのが、 07年の個展の頃だ。

個展が終わった時、 自分と向き合わなくてはいけない時期が来たと気づいた。

今、 立ち止まらなくてはいずれ全てを失う。 そう感じた。

展示会活動を休止。

商談を断り、 紹介を断る。 人脈が途切れる...。

勇気が要る事だった。

周りの先輩や仲間は動き続け、 キャリアを加え、 人脈を広げていく...。

焦り、 苛立ち、 不安。

いろんな感情が 押し寄せてきた 

2008年ほとんど仕事をしてないし、 作品もほとんどない。

自分を奮い立たせようと いろんな方法を試みた。

有言実行をモットーとしてる、 自分にプレッシャーを与えるために 2009年個展計画を言いふらしたり。

手近な目標を立てようと グループ展に参加しようとしたり。

果ては、 野外彫刻コンペに参加しようとしたり。

全てギブアップ。

表現したいことは きちんとある。

でも〈形〉にしようとすると、 薄さ安直さを感じ、 形では伝わらないと思ってしまう。

〈形〉でしかない、 「内面はあるのかよ? だからなんなんだよ? 」と自問自答しまう。

出口が皆目見当がつかなかった。

そうこう悩みながらも 2月のグループ展の準備が、 12月に入ってから本格的になった。

グループ展はまだ先だけど 初試みのオブジェを作ろうと思ってたから 早めに準備に入ったのだ。

だんだん、 だんだん、 見えてきた。

いままでの自分の 虚しさの意味。

そして、ある時を境に、 そんなからっぽの私に中身がストーンと落ちてきた。

探していたものはここにあった。

過ごした時間の意味も ここにあった。

と思えた。

先日、 脳科学者の茂木さんが テレビでおっしゃってた。

「あなたが何もせず、 ぼーっとしていると思ってる時も、

脳はあなたの思っている以上に、たくさんの情報を処理し、働いている。」と。

それを聞いてすごく納得してしまった。

何もできなかった私の1年間も きちんと自分に 整理をつけ、

30年あまりの、 この人生を含めた現時点での答えを出したんだ。

次のステージに進む時が来たのだと 感じた。

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