たぎる鉄(日新製鋼株式会社見学その1・呉製鉄所)


ー訪問は6月でしたが、このブログを書くには色々勉強し直さなくてはならず、遅くなってしまいましたー
日新製鋼見学ツアー o(^-^)o


あれやこれやとお世話になっている《日新製鋼株式会社》さんが、見学ツアーをしてくださいました (T ^ T) 感涙

。
ギャグのように、サラリと、ちゃっかりとお願いしていたことが、現実になったのです。


私は 馬鹿みたいに鉄が好きです(笑)。
三度の飯を事欠いても、怪我しても、挫折しても、鉄が好きです。


鉄に対する興味は 最初は西洋の門扉やフェンスなど《洋鍛冶技術》に対するリスペクトでしたが、
今は《鉄》そのものに移行しました。

私が制作しているダマスカスは、日本刀を作るのと同じ工程をたどります。それゆえに 鉄の性質や 状態を 的確に見極めなければなりません。そしてもはや、鉄は《操る》対象ではなくなり、《理解し促すべき》相手になりました。

結果、自分の工房では見ることのできない 鉄の生い立ちに 思いを馳せていました。

そんな切なる願いを日新製鋼さんが叶えてくださったのです \(^ー^)/


新幹線で一路広島へ ε=ε=┏( ・_・)┛
人生初広島。
広島駅アテンドの社員さんと落ち合う140605_1752~01.jpg(同じ新幹線に乗ってたんだけどね。カメラ向けたらおどけてくれたけど、とっても真面目で頑張り屋な社員さん)

この日は梅雨入りしたばかりで、豪雨が日本を縦断するように襲ってた。
それなのに私は「晴れ女に雨具は不要!!」と傘も持たず。
予想に反して というか 想定内レベルで 小雨パラつく広島。

在来線でトコトコ呉へ。海がきれい。 晴れてたらいいのに〜 タクシーに乗り換えて 《呉製鉄所》ご到着☆


応接室に通していただき、まずは呉工場の概要を説明していただきますo(^-^)o


日新製鋼は高炉を持ついわゆる《高炉メーカー》ですが《高炉メーカー》と言われる製鉄会社は日本に4社のみです。

☆新日鐵住金 ☆神戸製鋼所 ☆日新製鋼 ☆JFEスチール
の4社です。
現在稼動している国内の高炉は、4社合わせて27基。(世界でも800基程だそうな。)
「って高炉って何??? そもそも製鉄って????」という方たくさんいますよね。

浅い知識ですが、簡単に説明させていただきます。

まず、高炉のてっぺんから鉄鉱石とコークスを交互に入れ、燃焼させ銑鉄(せんてつ)を取り出します。銑鉄は1500℃に達する溶けた鉄です。
これを溶銑予備処理にて下準備をして、 転炉へ。

転炉では銑鉄を酸素と反応させて炭素や不純物を除去して、良質の鋼に転換します。 更に、真空脱ガス設備で不純物を取り除きつつ、添加物を加え成分調整し品質向上!! 
こうして堂々、特色ある高級鋼になります☆ 
が、ここまでは溶けた鉄(溶鉄)です。
 それを連続鋳造で固めスラブと呼ばれる巨大な鉄板をつくります。
呉工場のスラブは平均で厚み25センチ、幅120センチ、長さ9メートル平均重量16トン(◎o◎)
そいつを真っ赤に加熱された状態で、圧延機で伸ばしま〜す。と、こんな行程です。



さて見学です ε=ε=┏( ・_・)┛うきうきワクワク
。 でも、もちろん企業さんですから、写真はNG。141019_1506~01.jpg           《日新製鋼株式会社卓上カレンダーから 呉製鉄所 高炉 写真 石井 哲》


高炉デカいです。高さ百メートル!!

ここに一日に72000トンの鉄鉱石と5000トンのコークスを入れ、1200℃の熱風を送り燃焼させます。
こうして一日に1万トンの銑鉄が取り出されます。
1万トン??? え〜とスラブ1つが16トンだから...
(素人思考の)単純計算すると、1日に625個のスラブが生産されて。
1個9メートルだから1日5,625メートル→年間2053キロ以上。
一年で 東京から台湾の端っこまでスラブ敷き詰められる!!
想像を絶します。
いやはやなんだか 夢の国ですな〜。いや、もはや恐ろしい。


高炉に入った鉄鉱石は銑鉄になって、出銑口から出てくるまでに6時間かかります。
その出銑口を見学☆

案内と解説してくださった 社員さんの合図で 出銑口のカバーが外されると、辺りは一層熱気に包まれた。
夕方の西の空の 黄色がかった金色の太陽のような色の溶けた鉄が、ものすごい熱量と共に勢いよく飛び出してくる。

溶けた鉄の飛沫は 火花になって散り、その火花一つ一つがきらめく花火のように、パッと花開いてから虚空に消える。
マグマのようでもあるし、巨大な花火のようでもあります。


あまりにも素晴らしい光景に感動していると
「鉄に対する理解があるでしょうから。危険も理解できるでしょう。」と特別にもう一歩先に進ませてくださいました。
床に覗き穴が空いています。
覗いてみると (◎o◎) 金色の滝です!!!



出銑口は予想以上に 随分と高い所にあるのね。
高炉とそれを取り巻く建物があまりにも 大きいから地上に居ると錯覚してしまう。

出銑口を出た鉄は 階下に向かって、川のように流れ滝となり高炉鍋に入る☆141019_1617~01.jpg         《日新製鋼株式会社卓上カレンダーから 呉製鉄所 高炉 写真 森 信英(GLO)》
間違いなく 今までに見た中で 一番強烈な 花火と滝だった。
ずっとずっと見ていたかった。後ろ髪引かれつつ高炉を後にする。
建屋をつなぐ 空中渡り廊下を歩かせていただく。縦横無尽に走る配管。鉄錆色の雨だれが配管に模様を描いている。
美しい。



さて、次は転炉〜
高炉鍋が「ゴゴーッ」と上空を飛び溶銑を転炉に流し込む☆141021_1302~01.jpg     《呉のちょうど良い写真がなかったので、これは周南製鋼所のパンフレット表紙の転炉風景です》
金色の銑鉄が辺りを照らす。

続いて「フゴ〜っ」とスクラップボックスが飛んできて (どちらもクレーンで運ばれている) 屑鉄投入。傾けられたスクラップボックスの中から聞こえる鉄同士のぶつかりあう音は 鉄達が 新たな門出にむかって 雄叫びを上げているようだ。
転炉の縁のスラグがスクラップボックスの重みで破壊され、落下し辺りは金色の輝きが増した。

生命などあるわけもない取り鍋やスクラップボックスだが、巨大さに加え、長年の仕事の貫禄とハードワークが 道具達に独特の人間臭さを与えている。
建屋の

中も外も、ジブリの世界だな。
ラピュタ? ハウル? はたまたナウシカの巨神兵製造工場か?

連続鋳造設備へ。

私の悪い癖で 興味持った物の前でフリーズする。かつ臆面も無く、質問しまくる (笑)

結局時間足りなくなって 仕上げ圧延は駆け抜けるように見学。

呉製鉄所の特徴は狭さ☆
と言ってもデカいのですが、他社の製鉄所より、ちっさいのだそうです。 狭所克服の為に、多層構造でカバーしてるそうです。

「土地面積に対する鉄の生産量は日本最大ですよ。
そういったデータがないので、確証はありませんが、恐らく世界一ではないかと...あくまでも推測の域ですが。」
なんだか面白い☆
土地が狭い故に 配置工夫と近隣への環境配慮にはご苦労なさってるそうです。


そして、実は防火手袋4兄弟をいただいちゃいました (≧∇≦)
「仕事のハードさによって4種類あります。どうぞ☆ いい作品作って下さいね。」

どうぞって(◎o◎) この手の製品は非常にお高いのです。特に銀色のが!!140822_1739~01.jpg耐火耐熱手袋チョイスに難儀していた私には感謝感激!!!ありがたく使わせていただきます。

既に末っ子は使っちゃいました☆
大変丁寧な対応に恐縮ですが、こんな機会は二度と無いでしょうから 満喫させていただきました。

でもね!! 私は見逃しませんでしたよ☆
圧延設備の出口に《見学お疲れ様でしたまたのお越しを☆》という看板があったことを☆☆☆
全然疲れていません!! 「おかわり」したいぐらいです!! そして何度でも来たいです!!


さて、あっという間に呉に別れを告げて広島に戻り 再び新幹線。

山口〜♪
お泊まりは山口です。駅近くのホテルに宿泊 ♪ お夕食は周南製鋼所の方と☆

めくるめく地の利を生かしたお食事に舌鼓打ちつつ鉄について語る。至福の時とはこんな時でしょうね。

ホテルに帰ったらパタリと寝てしまった。しばらくして、慌てて起きてシャワー。それから呉製鉄所の復習開始。

見てきた事を反芻し完全に興奮状態。ちっとも眠れなくなりました ψ(`∇´)ψ

141022_0913~01.jpgこちらもいただいちゃいました。家宝にします!!
《鋼のみる夢》呉の高炉の夜景のクリアファイルめっちゃカッコイイ!!
《製鉄所萌え》DVD。工程順に呉製鉄所のアチコチ見れちゃいます!!!!
       基本解説無しで淡々と映像のみですが、副音声で中川翔子×山田五郎両氏
       が何か話してるそうです(笑) 。 私は音声無しで充分楽しい。
       工場見学気分楽しめるし、私も見てない所た〜くさんで何度観てもワクワクです。
       こちらからhttp://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/seitetsu/早回しされてるけど、
       ダイジェスト版みられますし、買えちゃいます (〃・∇・)o あ、宣伝しちゃった(笑)


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